文芸

『4444』(古川日出男/河出書房新社/ISBN:9784309019925)

4年4組を舞台に仕組まれた44の物語。遠い教室から44の“声”たちがこだまする…。「4」が今、生と死の放物線を描き出す。44の短編を貫いて、「現実」を新たに1つの長編として昇華させた衝撃作。 素敵なくらいに理解できていない。もう一度読む!44…

『ふたりの距離の概算』(米澤穂信/角川書店/ISBN:9784048740753)

春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する! 古典部シリーズ最新刊。奉太郎と千反田え…

『猫を抱いて象と泳ぐ』(小川洋子/文藝春秋/ISBN:9784163277509)

本屋大賞ノミネート作品。静かな作品だなぁ。高揚感を得られるようなシーンもあるんだけど、突き抜けることはなく厳かに進んでいきます。周りから見てはともかく各人満足な人生だったんじゃないでしょうか。ミイラだけは切なすぎる気がしますが。猫を抱いて…

『横道世之介』(吉田修一/毎日新聞社/ISBN:9784620107431)

本屋大賞ノミネート作品。不思議な感覚の作品でした。言葉で説明し辛いところがまさに感覚ですねぇ。年代的にツボ、登場人物ではやはり祥子ちゃんかツボでした。横道世之介作者: 吉田修一出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2009/09/16メディア: 単行本購入…

『神去なあなあ日常』(三浦しをん/徳間書店/ISBN:9784198627317)

本屋大賞ノミネート作。紆余曲折あれど働く大変さ楽しさが伝わってくる作品っていいですよねぇ。林業ということもあり自然に根ざした感がこれまた気持ちよい作品でした。神去なあなあ日常作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2009/05/15メディ…

『ヘヴン』(川上未映子/講談社/ISBN:9784062157728)

本屋大賞ノミネート作。ストレートに「いじめ」なお話でした。病院でのvs.百瀬が最も印象深いです。ヘヴン作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/02メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 271回この商品を含むブログ (237件) を見る

『植物図鑑』(有川浩/角川書店/ISBN:9784048739481)

本屋大賞ノミネート作。しあわせなお話で満足。『天地明察』が全方位向けだとしたらこちらはピンポイントで女子向けだよなぁ。植物図鑑作者: 有川浩出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/07/01メディア: 単行本購入: 4人 クリ…

『天地明察』(冲方丁/角川書店/ISBN:9784048740135)

本屋大賞ノミネート作。これは確かに滅法おもしろい。読み終えたのはまだ1冊目ですが、これが本屋大賞でいいんじゃ?と思う。天地明察作者: 冲方丁出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/12/01メディア: 単行本購入: 28人 クリ…

『船に乗れ!(1)合奏と協奏』(藤谷治/ジャイブ/ISBN:9784861765797) 

本屋大賞ノミネート作。感想は全巻読んでから書くつもりですが、いい事ばっかりだった気がするので、この先の反動が怖いですね。続けて2巻ではなく次は『天地明察』に行きます。船に乗れ!〈1〉合奏と協奏作者: 藤谷治出版社/メーカー: ジャイブ発売日: 2008/…

『リテイク・シックスティーン』(豊島ミホ/幻冬舎/ISBN:9784344017542)

読んでよかった。時間SF的に言うところの「人生やり直し」系作品なのですが、そのリテイクするのが主人公でなく、その友人というのが面白いですねぇ。百合作品ではないですが百合魂を感じさせるのも善し。リテイク・シックスティーン作者: 豊島ミホ出版社/メ…

『田舎の刑事の闘病記』(滝田務雄/東京創元社/ISBN:9784488017545)

こんなことを書くと著者の方にとっては不本意なのかもしれませんが安心して読めるミステリー。主役の黒川刑事を筆頭とした愛すべきキャラクターたちのドタバタっぷりというエンタメ性と、猿や蜂との対決等ちょっとした出来事が事件に結びつきそれを解決して…

『少年少女飛行倶楽部』(加納朋子/文藝春秋/ISBN:9784163281605)

内容、文章ともどもすらすら読めて気分爽快な一冊。しっかしこの方の文章は恐ろしいほどに読みやすいな。女子一人称というのも好ましい。女子が女子を取り合う構造も興味深いので百合ネタ好きな方にも(それがメインではないですが)。少年少女飛行倶楽部作…

『薄妃の恋 僕僕先生』(仁木英之/新潮社/ISBN:9784103030522)

「僕僕先生」シリーズの2冊目。今のところ目的のなさげなロードノベルのゆるゆるさが大変心地よいです。ゆるゆるといっても全体的な印象であって作中では大事件だらけなのですが。いい感じで仲間も増えてるしこの先が更に楽しみです。当然いい話な部分も好き…

『僕僕先生』(仁木英之/新潮社/ISBN:9784103030515)

時は唐代。若き王弁は父の財産に寄りかかり、学ばず、働かず、娶らず、ひたすら安逸を貪っていた。そんなある日、父の命で黄土山へと出かけた王弁は、そこでひとりの美少女と出会う。自らを僕僕と名乗るその少女、なんと何千何万年も生き続ける仙人で…不老不…

『ぼくは落ち着きがない』(長嶋有/光文社/ISBN:9784334926113)

最近各ジャンルでよく見受けられる部室モノの系統。とある高校の図書部の日常を描く。結論だけ書くと「誰をドラフト1位で指名したいか」といえば「図書委員の能見さんです」というお話でした。おおむねグダグダな感じが心地よい作品でした。 挿画は衿沢世衣…

『初恋素描帖』(豊島ミホ/メディアファクトリー/ISBN:9784840123983)

イラストは浅野いにお。とある中学二年生のクラスの初恋模様を描く連作短編集。クラスメイト35人のうちの20人が主人公となって語る20編。それぞれのお話単独で楽しむも良し、いくつかの話を読むことでわかってくる人間模様を楽しむも良し。一人称なので主観…

『武士道シックスティーン』(誉田哲也/文藝春秋/ISBN:9784163261607)

『走れ!T校バスケット部』がロングで売れているので、その周辺を探索中。『走れ!T校バスケット部』は読んだことないんだけど。で、こちらは女子剣道を題材にした青春部活モノ。メインの女子2人の当初の行動原理は正直ウザく、不安なところもありましたが、…

『食糧棚』(ジム・クレイス/白水社/ISBN:9784560047460)

「食」にまつわる短編集。「食」と言っても「美味しい」とかとは正反対なエログロナンセンスな世界。役に立つ、前向きになれるとかそんな要素にも乏しく、まさに「お話」を読むための本だなぁと思いました。お気に入りはクレームをつけてきたお客様にお詫び…

『カウントダウンノベルズ』(豊島ミホ/集英社/ISBN:9784087712377)

J-POP TOP10チャートから生まれるドラマ トップを走り続ける歌姫の恐れ、人気アイドルグループの輝きの秘密、解散直前バンドの悲哀、話題の新人のデビューの経緯――トシマミホが音楽シーンで生きる若者達の光と影を描いた小説集。(s-bookより引用) とある週…

『花が咲く頃いた君と』(豊島ミホ/双葉社/ISBN:9784575236101)

春夏秋冬それぞれの季節ごとに一つの花をモチーフにして描かれた短編集。どれも満足できる短編でしたがその中でも、著者自身がかつてまじめな学生さんだったんだろうなぁと思わせてくれる「サマバケ96」が私がイメージする「この著者らしい」作品でお気に…

『四畳半神話大系』(森見登美彦/太田出版/ISBN:9784872339062)

いつ買ったのか忘れましたが、文庫化されたこの時期にハードカバーで読む。ナルホドな平行世界の仕掛けが楽しい。同じような展開を繰り返すけど少しずつ選択を変えていって結果は......みたいな話は好物。西澤保彦『七回死んだ男』とかです。『七回死んだ男…

『砂漠』(伊坂幸太郎/実業之日本社/ISBN:9784408534848)

そういえば積読だったなぁと思いだし本屋大賞受賞にあわせて読んでみました。連作短編集っぽさが少し強いため一つ一つのエピソードは結構あっさり描かれたりしてますが、主要5人の学生がそれぞれ魅力的で読む手を止められませんでした。行動する者に幸あれ。…

『私の男』(桜庭一樹/文藝春秋/ISBN:9784163264301)

これで本屋大賞候補作10作品読了。設定やアプローチは違いますが『推定少女』や『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』に近い作品だなぁ、というのが一番の印象。本屋大賞的には私は『赤朽葉家の伝説』の方を推しています。私の男桜庭 一樹 文藝春秋 2007-10-30売…

『有頂天家族』(森見登美彦/幻冬舎/ISBN:9784344013841)

本屋大賞候補作読了9つめ。京都の地を舞台に、狸・天狗・人間の主導権争い、そして狸一家同士の抗争をファンタジックに描く活劇。タイトル通り家族小説でもある、というか主役の狸一家が愛らしすぎ。特に化けの皮を剥された姿。なんと愛すべき阿呆たちか。終…

『妙なる技の乙女たち』(小川一水/ポプラ社/ISBN:9784591101841)

近未来。宇宙と地球の接点となっている赤道直下の都市で働く女性たちを描く。オビには「お仕事オムニバスストーリー」って書いてます。仕事はバラバラ。宇宙に踏み出す者もあれば地球で保母さんだったり小舟タクシーを操縦していたり。女性たちが勝気すぎる…

『八日目の蝉』(角田光代/中央公論新社/ISBN:9784120038167)

本屋大賞候補作読了8つめ。不倫相手の生後半年ほどの赤ちゃんを連れて逃げる女性を描く第一部と、誘拐犯に4歳まで育てられたその女の子の18年後を描く第二部という二部構成。緊張感あふれる逃亡劇の中のつかの間の幸せと、一部二部をつなぐ「その子は朝ごは…

『悪人』(吉田修一/朝日新聞社出版局/ISBN:9784022502728)

本屋大賞候補作読了7つめ。微妙なペースになってきた。ギリギリ全部読めるかな。 さて、本作。元々は新聞連載だったらしく、細かなエピソードを積み重ねる事によって、とある事件の関係者達の人物像を浮かび上がらせていきます。で、結局は誰が悪人なん?っ…

『鹿男あをによし』(万城目学/幻冬舎/ISBN:9784344013148)

本屋大賞候補作読了6つめ。隣の駅はもう奈良市内なところで働く者としましては是非に売りたい本ですねぇ。異様なまでに近鉄が出てくる。見てないのですがTVドラマもそうなんでしょうか。『鴨川ホルモー』よりトンデモっぷりは控え目なのかなぁ。『鴨川ホルモ…

『映画篇』(金城一紀/集英社/ISBN:9784087753806)

本屋大賞候補作読了5つめ。むっちゃ面白かった。こういう機会がなければ金城一紀作品を読まなかったかもしれない、と思うと本屋大賞に感謝。 タイトル通り「映画」を軸にした連作短編集。それぞれの話が緩やかに繋がるのが公民館での『ローマの休日』の無料…

『カシオペアの丘で』(重松清/講談社/ISBN:9784062140027(上)、ISBN:9784062140034(下))

本屋大賞候補作読了4つめ。いろいろと物語は交錯しますが、軸は40歳でガンにより亡くなってしまう男の物語。上下巻となっているようになかなかの分量。且つ、マイナス(不幸せ)要素がこれでもか、というほどに投入されているため読んでいて息苦しくなりつつ…