『カウントダウンノベルズ』(豊島ミホ/集英社/ISBN:9784087712377)

J-POP TOP10チャートから生まれるドラマ
トップを走り続ける歌姫の恐れ、人気アイドルグループの輝きの秘密、解散直前バンドの悲哀、話題の新人のデビューの経緯――トシマミホが音楽シーンで生きる若者達の光と影を描いた小説集。(s-bookより引用)

とある週のシングルチャートTOP10にランキングしたアーティストにまつわる連作短編集。1位から順に語られています。上の紹介では「光と影」と書いてありますが、ほぼ「影」についてですねぇ。「影」と言っても「暗い」というわけではなく「見えない部分」のモヤモヤっとした感情をキラキラっと描いています。いつもよりはやや派手な立場の方を描いているとはいえ男性のウダウダしつつのジタバタっぷりの描写はいつも通りかそれ以上で冴えわたっています。
この作品というより豊島ミホについて。代表作はR-18文学賞読者賞を受賞した『青空チェリー』か映画化された『檸檬のころ』でしょうか。この方の魅力がストレートに伝わりやすいのは『檸檬のころ』だと思うので最初に読むならこちらかなぁ。R-18文学賞には確か「女性のための官能」という性質を有していたと思いますが、それが豊島ミホの作風とは異なるためこの受賞は今となってはちょっと損してるかもしれないと実は思っています。『青空チェリー』の中の「ハニィ、空が灼けているよ。」にはガツンとやられたのでこちらもお勧めですよ。

カウントダウンノベルズカウントダウンノベルズ
豊島 ミホ

集英社 2008-05
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