イラストは浅野いにお。とある中学二年生のクラスの初恋模様を描く連作短編集。クラスメイト35人のうちの20人が主人公となって語る20編。それぞれのお話単独で楽しむも良し、いくつかの話を読むことでわかってくる人間模様を楽しむも良し。一人称なので主観と客観の差が面白い。自分はこう思ってる、だけど他人からはこう見えている、というのがここかしこに見えます。この年代らしく、憧れがあっても卑屈になったりで素直に行動できない男女、というのを描かせたら本当に筆が冴えるなぁ。「わかってくれぇ、気づいて欲しい」に満ち溢れています。好みは佐原杏子と武田陽介のお話。少しずつ進展する男子と女子の関係を見て「もどかしいんじゃー」と叫びたい方に特にオススメ。
豊島ミホは、第一にむちゃくちゃ読みやすい、第二に何というか技術的に上手い（特に連作において）、第三に卑屈な男女の恋愛というのが私の好み、ということでイチオシなんだけど、世間的には私が思ってるほどには評価されていない模様。綺麗に収まっていることも多いので、外に放つパワーというのは逆に欠けているのかもしれない。でもこの綺麗さは失わないで欲しい。何かきっかけがあれば爆発するんじゃないかと。
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