新書

『マーケティング・アンビション思考』(竹内弘高, 恩蔵直人, 片平秀貴, 石井淳蔵, 嶋口充輝, 上原征彦/角川書店/ISBN:9784047101647)

帯には「現代マーケティングの教科書」って書いてありますが、今の私には教科書というよりもアンビシャス=志を高め、気合を入れ直すのにぴったりな一冊でした。みなさんがみなさんマーケティングを通して夢を語ってるようなところがあるので、入り込みやす…

『中国雑話 中国的思想』(酒見賢一/文藝春秋/ISBN:9784166605965)

中国噺八題のうち「劉備」「関羽」「孫子」「李衛公問対」のみ読みました。三国志ネタ2つと兵法ネタ2つ。まだ読んでいないのは「仙人」「易的世界」「中国拳法」「王向斎」。 三国志ネタ、「劉備」の生涯通しての無節操っぷりと「関羽」の死後の神としての出…

『もしもし』(ニコルソン ベイカー/白水社/ISBN:9784560071182)

電話を通した男女の会話だけで構成される変なお話。基本エロトーク。細部にこだわる割にはすごく軽くて下品な感じはあまりしない。会話だけという結構無理なつくりだけど軽いんでとっても読みやすく、だれることなく読み終えることができた。なんだか変な作…

『大正野球娘。〜土と埃にまみれます〜』(神楽坂淳/徳間書店/ISBN:9784198507534)

楽しかった。試合前々日から始まり、当然メインイベントは男子との試合で、後日談があって物語の終わりは「ハッピーエンド」という流れなんですが、試合前から試合が始まった直後くらいまでの地に足がつかず浮ついたような感覚が心地よくて、読んでるこちら…

『三つの小さな王国』(スティーヴン・ミルハウザー/白水社/ISBN:9784560071373)

「偏執」という言葉がぴったりな中篇作品が三つ。二つ目の「王妃、小人、土牢」は客観的視点を積み重ねて構築されていった物語が、知らぬ間に(ということもないけど)主観的視点により崩壊していく様が美しい。三つ目の「展覧会のカタログ――エドマンド・ム…

『算数再入門』(中山理/中央公論新社/ISBN:9784121019424)

読んで思った言葉は「地頭力」。そちら方面に役立ちそうだなぁと感じる。もっと役立つのは小学生に算数を教える状況でしょうねぇ。実際その方向で書かれてるんだと思います。分数や小数の計算など「当然」と思ってることをわかりやすく説明するのに有用な一…

『消失!』(中西智明/講談社/ISBN:9784061825529)

1990年の作品が復刊。「書きたかったことを詰め込みました」的な、著者の方が若い頃に書いたのが伝わってくる楽しい作品でした。いくつかのサプライズが用意されていて、私がどれも純粋に驚けたのも良かったです。「探偵役が真犯人」というやつなのでシリー…

『〈本の姫〉は謳う(1)』(多崎礼/中央公論新社/ISBN:9784125010069)

滅日により大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な文字〈スペル〉を回収するために、少年は旅に出る!――第2回C★NOVELS大賞受賞作家・多崎礼の新シリーズ、満を持して登場!! 出版社情報より 『煌夜祭』の時にも感じたように話に引き込む力がすごい。ち…

『この本、おもしろいよ!』(岩波書店編集部/岩波書店/ISBN:9784005005727)

岩波書店とライトノベル 一般には知りませんが、私の中のイメージでは「岩波書店」というと居丈高気味のお嬢様。そんな彼女が大衆の読む「ライトノベル」について語る、というのはデレの発露ととも捉えられるわけで。「べ、別にライトノベルに興味なんかない…

『大正野球娘。』(神楽坂淳/徳間書店/ISBN:9784198507428)

オビによると「大正浪漫の香り漂う、乙女たちの奮闘物語!」。 こりゃまた楽しい全方位向けな作品だ。百合方面はもとより、最近「おお振り」読んで「野球って楽しいのかも」とか思っている女子に読んでもらいたいもんです。大正野球娘。神楽坂 淳 小池定路 …

『煌夜祭』(多崎礼/中央公論新社/ISBN:4125009481)

結構話題っぽいので読んでみた。版元情報より。 ここ十八諸島では冬至の夜、漂泊の語り部たちが物語を語り合う「煌夜祭」が開かれる。今年も、死なない体を持ち、人を喰う魔物たちの物語が語られる――第2回C★NOVELS大賞受賞作! アラビアンナイト風の…

『玉響荘のユーウツ』(福田栄一/徳間書店/ISBN:4198506825)

ああ、『A HAPPY LUCKY MAN』の人だ、というのが第一感想。『A HAPPY LUCKY MAN』同様巻き込まれ型トラブルシューティングストーリー。借金返済のために、突然相続で転がり込んできたアパートを売却するために、アパートの住人全員の退室届を得るために、ア…

『水の迷宮』(石持浅海/光文社)

中にサブテキストというのが挟まっていて、著者インタビューなどが載っています。そこで好きな作家として“設定の鬼”西澤保彦の名が挙げられておりました。というのがよくわかる作品。というか『アイルランドの薔薇』『月の扉』もそういえば特殊設定下の話と…

『名探偵 木更津悠也』(麻耶雄嵩/光文社)

面白かった。でも、どう面白かったのかが上手くまとまらない。探偵役とワトソン役の奇妙な関係と、その関係による事件の解決を楽しむ、というのが王道なのかな?とにかく木更津と香月の力関係がよく判らん。香月が一枚上っぽいけど,どうなんだろう?そう単…

『クビキリサイクル』(西尾維新/講談社)

読む前の想像として、壊れた文章で内容が薄いのかも、というのもありましたが、ずっとずっとずっと良かったです。どうして、そういう想像になったのだろう? 招く側の令嬢とメイドたち、招かれる側の5人の天才とオマケたち、計12人。絶海の孤島で起こるクビ…

『少年名探偵 虹北恭助の冒険』(はやみねかおる/講談社)

ジュブナイル小説、の定義は不明ですが、本作は私のイメージではその範疇に含まれそうなのでスニーカー文庫や電撃文庫の並びにも置いてます。しかも児童書の青い鳥文庫の所にも置いているので、通常のノベルスのコーナーを含め実は3面展示だ。 てな訳で、元…

『天使はモップを持って』(近藤史恵/実業之日本社)

この著者の本は初読。たぶん普段とは作風が異なると思われる「日常の謎」系ミステリー。探偵役は女性清掃作業員のキリコ。女性清掃作業員といっても、若いし、そうとは思えない派手な格好な女の子。ワトソン役はキリコが清掃するオフィスの新入社員の梶本大…

『蛇行する川のほとり(2)』(恩田陸/中央公論新社)

三部作の第二作目。祥伝社の400円文庫もビックリなまでにあっという間に読めました。今まで読んだ中で傾向が近いのは『夏の夜会』(西澤保彦)かなぁ。記憶を封印あるいは捏造してしまっている過去の事件の真相が、時を経て明らかになる、という感じです。た…

『これがビ−トルズだ』(中山康樹/講談社)

元「スイング・ジャーナル」誌編集長にて、現在音楽評論家たる中山康樹氏によるビートルズの全公式213曲解説書。最近、講談社現代新書は当たりが多い気がしますが、これもその一冊。一曲につき一ページで解説、全て読みごたえがあります。一つの結論として、…

『幽霊船が消えるまで』(柄刀一/祥伝社)

「天才・龍之介がゆく!」シリーズの第二弾。短編6編収録。 知能指数190、生活能力ゼロの天才・龍之介。前作は、彼の後見人の中畑さんに会いにフィリピンまで行ったけどすれ違い、という所で終了。本作はフィリピンからの帰還から始まり中畑さんに会えるまで…

『最強の競馬論』(森秀行/講談社)

最近競馬に疎いのでどうなってるか知りませんが、どちらかといえば、成績は良いけど嫌われ者タイプの調教師だったような...私は大好きなのですが。そんな彼が講談社現代新書(!)から本を出すとなれば買わずにはいられないでしょう。内容はかなり正論色…