文庫
シリーズ本編の最終巻。外伝等はまだ出るようですが。この最終巻は遠子先輩一家の再生の物語をジッドの『狭き門』を下敷きにして話を進めつつ、「小説」が持つ無限の可能性と、それに向かおうとする心葉の決意まで描ききってシリーズをまとめてしまうという…
「奈良vs京都」フェアのところにおいてます。そういう観点だと、著者の方は京都に土地勘なさすぎ、な感あり。「阪急電車の烏丸御池で降りて」とか。まぁ、このあたりは土地にこだわらなければ些細なことかなぁと思います。本書の特色は「京都であること」や…
高機能自閉症云々についてちゃんと理解できたか怪しいけど、自分とは行動原理、リアクション等が異なる人が存在することを認識するには申し分のない本でした。そんなの当然、と思うかもしれませんが、気づくと忘れていてイライラしてしまってることってある…
新シリーズ。前シリーズの『レジンキャストミルク』とガジェット等は違っても作りは似てるよなぁ、という1巻目。導入部分として問題はなく、話に入り込めました。1巻目ということもあってか、ほんわか日常パートは少なく全体通して緊張感あり。似ていると見…
文字通り『マリみて』の弟版。祐巳の弟・祐麒が主役で舞台が仏教系男子校なんで設定というかルールの違いに若干戸惑いはあっても、本質は『マリみて』ワールド。弟君はやけにツンツンしている以外は傾向は姉に似ているし、巻き込まれ方も姉を髣髴させるし本…
黒川の退場等で話は一区切り。伏線張りまくりというか今後を示唆する話題が多く、いくつかの視点から混ざり合うように話は進んでいくので、間が開くと読み始めてから勘を取り戻すのに時間がかかるだけに続きは早く書いてもらえるとありがたい。いくつかの視…
なるほど楽しい作品だなぁ。まさに極上のエンタメ作品だ。騙された4人が協力して騙し返し、損した金額だけを取り戻そうとするお話。全体として軽い、騙し返されている方は騙されているとは気づいていない、4人目の仕返しプランからの急転直下っぷり、王道と…
奇想色の強い短編集。文章が読みづらいなぁ、と感じておりましたが、元の雰囲気を生かすための訳し方なのかと気づいてからはするする読めるようになってきた。男性が読むと女の子のブラックボックス的なものに触れられたような気になれる作品、ですが基本女…
ホメロスだったり村上春樹だったりカフカだったりきたやまようこだったり、あるいは古事記だったりイタリア民話だったり、そして必ずしも小説というスタイルでもない古今東西何でもありの超短編集。一番長いのはどれだったんだろう? 川上弘美ので4ページ。…
文庫になる前の分を読んだことがあったので再読。でもかなり加筆修正があったらしいです。前作『木野塚探偵事務所だ』は短編集でしたがこちらは長編。メインとなる事件が結構大掛かりなため木野塚も桃世も薄味になってしまったのはもったいないかなぁ。次読…
何が好きなのかと問われれば「グッドナイト」と答えます。次点は「ヤクザの嬢、なめんな」です。人間、一瞬くらいはこのような人生(あるいは犬生)を送るべきだと思いました。ただし一瞬が精一杯です。命がいくつあっても足りません。ベルカ、吠えないのか?…
読んだ。カタカナの名前を上手く取り込めない体質のせいか、すらすら読むことはできませんでしたが内容はインパクトありました。2年前だったか高校の部の課題図書に選定されてたはずで、とても素晴らしいことだったといまさらながら思います。この本の流れか…
初期の作品。珍しくミステリーでもない。でもやっぱり女性が魅力的に描かれている。 「今度あったとき、言いなさいね」 「わたしのことが、好きだって」 青さ爆発の青春小説です。八月の舟 (文春文庫 ひ 7-6)樋口 有介 文藝春秋 2008-05-09売り上げランキン…
愛川晶というと根津愛シリーズのイメージが強くて、ユーモラス云々とか思ったけど、そういえば根津愛のシリーズもカニバリズムだったり『夜宴』の表紙が怪しかったり結構ドロドロしていた作品も多かったなぁということを思い出させてくれる作品でした。宗教…
長い。何が長いかというと、被害者の被害に遭うまでの行動が細かく書かれているのが長い。連続通り魔殺人事件だけに被害者が4人いるので、その描写も4人分。長い。でもその長さが気にならないくらいその描写が楽しめるんだよなぁ。不思議。ついでに推理する…
本日新刊。値段も手ごろで見た目も良い感じなので買ってみる。マーケティングについて書かれています。簡単な例え話とポイントだけが書かれているのでおそろしく読みやすい。ただしポイントしか書かれていないので実際に用いようと思えば頭を使う必要あり。…
第1回日本ファンタジーノベル大賞の大賞受賞作、ですね。面白かったです。後宮を通してとある国のことを描いているように見せかけて子宮周辺のことを執拗に描いてるのが私にとってファンタジーでした。ハルヒと長門有希がいるよ、と思うと殊更読みやすかった…
ああ下巻が出てからまとめて読むべきだと思った。重い。重いといってもこれまでのエピソードの重さと実はそんなに変わらない気がするんだけど、「文学少女」そのものにかかわる重さなので感じ方が違ってきているのかなぁ。前巻のエピローグも含めると物語の…
ミステリ・フロンティアで出たときも買ったんだけど見失ってしまったんですよねぇ。文庫化で再挑戦、です。 失踪した女性を探す、という点だけ見ると宮部みゆきの『火車』に近いし、比較してインパクトは『火車』には及ばない。なので注目すべきは探す側。古…
バレンタインデーのお返しについてあれやこれやの「マーガレットにリボン」の合間合間に先代薔薇さまたちのエピソードを挟みこんだ連作短編集。相変わらず猛烈に読みやすいよなぁ。これだけすらすら読める文章ってのもすごい。「青い傘の想い出」を読んでも…
昔に講談社文庫版を読んだので再読ですがすっかり忘れてました。続編が6月に発売するというのと『犬はどこだ』(米澤穂信)と同じタイミングでの発売にしたのは良い仕事だと思います。木野塚探偵事務所だ (創元推理文庫 M ひ 3-10)樋口 有介 東京創元社 2008…
仕事の効率化等について書かれてますが、大事なのはなぜ効率化するのか、なぜ定時に帰る必要があるのか、をちゃんと認識する事にある、ということなのでしょう。表紙やタイトルの軽さより落ち着いた本でした。定時に帰る仕事術 (ヴィレッジブックス N ス 5-1…
長いのはわかってたことだが、それでも読むのに時間をかけすぎてしまった。で、あわてて読んだせいかエピローグが理解できてねぇ。もう一度読み直す勇気がありません。作品は良い感じで青く楽しませてもらいました。登場人物たちの悩み方が現在をえらく反映…
十二歳だったのは何年前だろう。当時の事は覚えてない方だと思う。それでも将来に対する漠然とした不安があったのは思い出せる。当時の私に今の私の姿は想像できなかったでしょうねぇ。そんなことを改めて思い出させてくれる一冊でした。十二歳 (講談社文庫 …
いつか出て行かなくてはならないぬるま湯に浸っているような物語の、ぬるま湯から出て行く編。私が読む中では感覚的に近いなぁと思う『ROOM NO.1301』シリーズ同様、読んでる間の心地が良すぎて、私自身が出て行くことができなくなってしまうのではないか、…
雰囲気で語ろう。 参考文献を見るまでもなく、舞台のモデル(の一部?)はヴェネツィア。ゴンドラやトラゲットも何度も出てくるしね。 主人公のマリアと、その友人のアッシャ。二人して世界を手に入れることを目指す。その関係はラインハルトとキルヒアイス…
本屋大賞ノミネート作品を順次読んでおりますが、続けて読むのではなく間に別の作品を挟んで読んでいく計画。意味はないし、間に合わない可能性もあるわけですが。で、今ごろこの作品。豊島ミホが絶賛しているのはすごくわかった気がしました。蹴りたい背中 …
4冊目の短編集。短編集独自で広がる「私とお嬢様とメガネなお仕事」「私とエリさんと嫌でも目立つ自分」の路線がより好みでした。鈴璃の友人たちが特に良し。ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・ふぉー (富士見ミステリー文庫 16-19)新井 輝 富士見書房 2008…
『ROOM NO.1301』シリーズといい、読みやすい、というより、読んでる間の心地が良すぎて変になりそう。モラトリアムとかいう言葉がぴったり当てはまりそうな、ぐだぐだなかなか前に進まない悩みっぷりが私の波長に合うのでしょうか。私は妹よりも幼馴染み支…
三国志の中でも表舞台には殆ど出てこない人物だと思うのですが、そんなに多くないエピソードを上手くちりばめながら、豪族出身等ちゃんとキャラも構築されているので読みやすく、且つ、楽しめました。この路線の龐統が好きな方ならコミックですが諏訪緑の『…