「奈良vs京都」フェアのところにおいてます。そういう観点だと、著者の方は京都に土地勘なさすぎ、な感あり。「阪急電車の烏丸御池で降りて」とか。まぁ、このあたりは土地にこだわらなければ些細なことかなぁと思います。本書の特色は「京都であること」や「密室推理モノ」といった側面よりも心理サスペンスなところにあるように感じました。女性の他者、特に女性を見下すときの辛辣な表現が強烈。というか底意地悪そうな女性ばっかりで感情移入しにくいんだけど読みやすい、という不思議な作品。罵り合う容疑者2人はもちろん、主たる語り手である主人公も、実質的探偵(?)な容疑者の娘もみんな嫌な奴っぽい。「嫌な奴vs嫌な奴」は楽しいのかも。たぶん女性向けかと。
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