文庫。角川新刊。読んでる最中の高揚感という点ではここ数年内ナンバーワンの『クドリャフカの順番』がやっぱりイチオシ。古典部シリーズの既刊ともども売っていきたい。

クドリャフカの順番 (角川文庫 よ 23-3)クドリャフカの順番 (角川文庫 よ 23-3)
米澤 穂信

角川グループパブリッシング 2008-05-24
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注目すべきは鳥羽亮の『流想十郎蝴蝶剣』でしょうか。角川が「書き下ろし時代小説」というジャンルに参入してきたこと自体が興味深いです。元々このジャンルを引っ張ってきたのは祥伝社廣済堂・ハルキ・学研・光文社・徳間それと双葉あたりでしょうか。講談社・文春・新潮あたりの時代小説はまずは「文芸書」として発売されてから数年後に「文庫」化されるというのが以前からのスタイル。「書き下ろし時代小説」というジャンル自体が佐伯泰英等の活躍により認知が高まると、講談社は2005年7月に佐伯泰英と藤原緋沙子を引き連れて参入。文春・新潮は変わらず文芸書重視型。この2社では新潮の『退屈姫君』(米村圭伍)のシリーズくらいしか文庫書き下ろしは記憶にないです。集英社は逆に撤退気味? 少し前まで庄司圭太さらにその前は峰隆一郎が書いてたのに最近は文庫書き下ろしって何かあったっけ?
で、角川。角川って文芸書でも時代小説をあまり出してなかったのに「書き下ろし時代小説」に参入してきたんですよねぇ。そこからして興味深い。でも昔からの自説でもあるんですが、時代小説とライトノベルは売り手としては扱いが一緒なのでライトノベルに強い角川は特に時代小説に向いてると思うんです。一応どう扱いが一緒か書いておくと、ラノベも書き下ろし時代小説も「シリーズもの」が基本で、数ヶ月置きに新刊が出ます。だから売り伸ばし方もそのまま使えるし、角川お得意の実績配本も活きてくると思うんです。ただ、来月の角川文庫の新刊のラインアップを見ると都筑道夫等の作品を復活させてたりするので「時代小説」には力を入れるようですが「書き下ろし時代小説」について角川が本気なのかどうかはまだまだ不明。今回の鳥羽亮が試金石なんでしょうか? 真剣に向いてると思うので本格参入を期待しております。
流想十郎蝴蝶剣 (角川文庫 と 7-1)流想十郎蝴蝶剣 (角川文庫 と 7-1)
鳥羽 亮

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