『日本一元気な30人の総合商社』(寺井良治/小学館/ISBN:9784093897259)

デフレ産業ひとり勝ちの日本にあって、旧来型の業態である「総合商社」の看板を掲げ、大躍進を遂げている会社があります。しかも社員はわずか30人。売上高は2年で5倍に拡大し増収増益を遂げています。手がけるのは、飲食店の「おまけ」などで配られるDVDやCD、倒産寸前の会社の環境特許技術、シベリア向け中古車など、大手商社が見向きもしない超ニッチな分野ばかり。しかもどれも面白いように成功しています。
 大手商社は、「商社冬の時代」を経て、吸収合併と不採算部門のリストラを進めてきました。旧日商岩井社内ベンチャーから始まったこの会社も、合併で親会社が消滅。そこで社長が進めたのは、大手商社が進める高利益体質へ転換とは正反対の足で稼ぐ新規市場開拓です。誰もが手掛けないビジネスを切り開き、知恵を絞って販路を拡大するーー。いわばそれは、貿易立国を支えたかつての商社本来の姿でもありました。
 この企業物語には、ユニクロにも餃子の王将にもない、忘れかけていた日本企業の力の源泉が逞しく息づいています。と同時に、企業とサラリーマンが大リストラ時代を生き抜くための「ヒント」に溢れています。

日本一元気な30人の総合商社

日本一元気な30人の総合商社