『リリイの籠』(豊島ミホ/光文社/ISBN:9784334925864)

女の子同士って、むずかしいけれどやっぱり特別
(帯より)

女子高が舞台。そして「リリイ」。ゆえに「百合」な作品です。全7編いずれも女子と女子の恋愛あるいはその一歩手前の感情を描いております。女子と女子といっても先輩と後輩だったり、先生と生徒だったりいろいろありますが最も好みだったのは冒頭の「銀杏泥棒は金色」。内容は

絵のモデルを頼んだ加菜に、憧れにも近い感情で惹き付けられていく美術部員の春
(これも帯より)

好きなものを描け、といわれたが好きなものがわからない春。たまたま見かけた加菜の「銀杏泥棒」の美しい姿に衝撃を受けモデルを頼む...というお話。相手のことが特別な存在に思えてくる心の動き、相手にとっても特別な存在でいたいという思い、そのための行動、そのあたりすべてがもどかしくも美しいです。特別を示す「金色」の描写がいいなぁ。ポジティブな終わり方も好みです。

リリイの籠リリイの籠
豊島 ミホ

光文社 2007-12-14
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