『私が語りはじめた彼は』(三浦しをん/新潮社/ISBN:4104541036)

本屋大賞」ノミネート作品のうち、こちらで3作品目。ネタバレあったらすみません。
面白かった。面白かったけど一気に読んだわけでなかったので、部分部分を頭の中で上手く調整できず少し苦しみました。苦しんだのは村川融の子供達の関係。えーと、ほたると呼人は姉弟なんですよね?その村川教授を中心とする、かなりドロドロした恋愛・人間模様を端正な文章で描く連作短編集。一番好きなのは唯一爽やかといえそうな「予言」。他も全て引き込まれましたが、その青さがたまらない「予言」は別格です。
これって褒め言葉に聞こえないかもしれませんが、恩田陸が書く『火車』みたいなノリで読みました。小説というより物語。物語を紡ぐことのできる人って凄いと思う。