『レイン レイン・ボウ』(加納朋子/集英社)

一年のスタートは加納朋子から。加納朋子らしく、やわらかく、優しく、少し強い、とても“イイ”話でした。以下、ネタバレ含みます。
一応は『水曜日の水玉模様』の続編にあたる作品。知らなくても大丈夫です。部活仲間の1人が若くして死に、その死をキッカケに彼女の一番の親友が失踪する、というのがメインストーリー。7つの短編がそれぞれ部活仲間たちを主人公として自分の過去と現在が語られ、付随的に死んだ子と失踪した子のことが浮かび上がってくるという感じの短編連作集です。この手法から言って少し宮部みゆきの『火車』に近いかも。替え玉ネタでもあるし。一番好きなエピソードは善福佳寿美が主人公の「ひよこ色の天使」です。“うー”と“うーう”という表現とか、本当に優しくてやわらかくて温かいです。善福佳寿美のお話はミステリーでもなくてよいから、また読みたいなぁ。