『オーデュボンの祈り』(伊坂幸太郎/新潮社)

直感的な感想で言うと、村上春樹的。といっても私は村上作品はあまり読んだ事がなくて、限定的に言うなら『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社)を思い出しました。なんでだろう?『オーデュボン〜』のキーワードの一つが“欠けているもの”で、最終的にそれが何かがわかる。一方の『世界の終りと〜』が“失ったものをとり戻すことができた(らしい)”話だったからだろうか?うーん、何か違うなぁ。所詮直感なので深くは考えない事にしよう。
未来を予見するカカシが殺される話、と書くと訳が分からないでしょう。でも、そのまんまの話です。この方の他の作品もそうですが、伏線というか前振りが見事で、それらを損なうことなくきれいに収束していくのが素晴らしい。何故カカシは手紙を書けと言ったのか、何故殺されたカカシの頭が丘のところに転がっていたのか、などなど後になってなるほどー、とわかるのが心地良いです。落ち着いたらもう一度読み直そう。そうすれば、もっとわかるような気がします。