まったくの余談

売れた商品の補充発注には「サポートワンPLUS」を使うように取次の方には言われる。「サポートワンPLUS」というのは要はPOSデータを元に、売れた商品の「基本在庫順位」「自店在庫数」「注残」などをパソコンの画面で確認して注文するかしないかを決める事のできるシステム、でいいのかな。ただし、データが反映するのに時間を要するため、その日に売れた分は翌日にしか発注できません。従来の発注方法が、売れた商品のスリップを見て担当者が自分の好みや勘で発注するかどうか決める、というプリミティブな方法なのに対し、「サポートワンPLUS」だと例えば文庫だと自店に10000冊在庫を置けるとするなら自店の基本在庫を10000に設定。売れた商品の「基本在庫順位」が10000位以内で「自店在庫数」が0なら発注する、とかルールを決めてしまえば今日入ったばかりのバイト君でも発注するかどうか判断でき、店の在庫も「基本在庫順位」が上位の商品で構成できるようになるという進歩的な発注方法、ということのようです。
進歩的な方法ではありますが杓子定規的にこの方向性を進めていくと多少問題がありまして。第一に、どこの店も在庫内容が均質化してしまい、個性が失われるかもしれない、ということ。第二に、「基本在庫順位」が低いアイテムはより発注されなくなるため、より短期に絶版状態になるアイテムが増えそうだ、ということ。
この方向はリアル書店の進む道ではないと思うのですよ。でも取次の方はどうも順位の高いアイテムを置くようにしたら売上が伸びると信じているようなんですよねぇ。私はせっかくのリアル書店ということもあって、どちらかというと「場」主義で、売れるか売れないかは「場」が楽しいかどうかにかかってる、と思う傾向が強いんです。実現できているかどうかは別として、面白みを出そうとするには順位の低いアイテムも結構多用するわけで。取次の方も杓子定規に「サポートワンPLUS」を使えって言ってるわけでなく、そこいらは臨機応変に、ということなのでしょうが、「あなたの店は3000位以下のアイテムの発注がこんなに多いけど、その分の販売効率はこんなに低いですよ」とか「平台アイテムは上位○○位までのだけを並べるようにしましょう」とか言われると、やっぱりそれはリアル書店の進む道じゃないとか思ってしまうのですよ。
長々とぐだぐだと書きましたが「サポートワンPLUS」を使わない一番の理由は、発注のタイミングが一日遅れるから。そしてプリミティブな思考のものにはプリミティブな方法が合ってると思い込んでるから。「サポートワンPLUS」の利用日数が少ない、とまた責められるかと思うとちょっと憂鬱。一般的には便利だとされてるのかなぁ。